2016年3月に劇場公開された『父を探して』の予告編動画は、こちら
少年は、出稼ぎに出たまま戻らない父親を探しに、未知の広大な世界を旅していく。
やがて父を探す旅は、祖国ブラジルと生きることへの意味を問う旅となっていく・・・。
『父を探して』は、全編手書き!セリフ無し!南米初の偉業を達成したアニメの金字塔。
近年では経済成長が著しいブラジルは、70年代から後半にかけて長い独裁政権時代を経験し、その後も環境破壊を伴う経済発展など、さまざまな問題が噴出している。
『父を探して』は、アニメのファンタジーにブラジルの社会や政治、格差と貧困の現実といった大人の問題もテーマに掲げ ”父を探す旅”は、やがて祖国ブラジルと生きることへの意味を問う旅となっていくのでした!
少年は希望と共に前へ前へと進む
父を探す旅で、少年を待ち受けるのは過酷な労働が強いられる農村や、虚飾に満ちた暮らしがはびこり独裁政権が戦争を画策する国際都市・ブラジルだ。
それでも、少年は旅先で出会う様々な人々との交流を重ねながら、希望と共に前へ前へと進んで行く・・・大好きなお父さんを探すまでは、あきらめない!
シンプルでエモーショナルな物語
お話は小さなイモ虫のクレイアニメ「ニャッキ!」のような、丸に線の目をしたシンプルなフォルムの主人公の少年が旅立った父を探しに行くというシンプルな内容だが、様々な色分けと筆使いで表現されるシーンと、セリフの無い描き方はエモーショナルでシュール!
ブラジル発のアニメ『父を探して』は、クレヨン・色鉛筆・切り絵・油絵具などを自在に使い分けた筆使いは、まるで絵本に魔法をかけたような滑らかなアクションが描かれます。
そしてそれらの表現は、一切のセリフもテロップも必要とせずに描かれている点で、観る者の想像力を刺激し、言語の壁を越えた物語として世界的に高い評価を受けました。
夢と希望を込めた色彩が織りなす世界
ブラジル・インディペンデント・アニメーション界の新鋭アレ・アブレウ監督による長編第2作目は、出稼ぎに出た父親を探しに少年が広大な世界を旅する物語を、夢と希望溢れる色彩と、全編手描きのセリフ無しで描きます。
アレ・アブレウ監督は、13歳からサンパウロの美術館でワークショップを受講したのみで、アニメーションの技法は ほぼ独学で学んだアニメーターです。
2007年に長編第1作『Garoto Cósmico』を監督し、同作は2009年ブラジルアカデミー賞最優秀アニメーション映画賞を受賞しました。『父を探して』は、監督長編第2作目。
映画祭で数多くの賞を受賞
『父を探して』は、2014年のフランス・アヌシー国際アニメーション映画祭で最高賞となるクリスタルと観客賞をW受賞したのをはじめ数多くの賞を受賞し、第88回アカデミー賞長編アニメーション賞にノミネートされました。
本作のアニメーションタッチは一定ではなく、あらゆる手法を自在に操りコラージュしながら目に映る世界を取り込んでいく。
時には 明るくカラフルなクレヨンやパステルで描き、時には 色と形と音でどこまでも表現していき、絵の具のベッタリ感・透明感・ツギハギのテクスチャーと図形的なパターン模様とCGエフェクトが入り乱れるサイケデリック空間を通り抜けた途端に、フッとなにも無い空白になる・・・まさに、縦横無尽なビジョンの数々に 圧倒されっぱなしになります。
『父を探して』のあらすじ
少年は親子三人で、緑豊かな丘の家で幸せな生活を送っていた。
しかし、父親は出稼ぎにでるため、ある日突然 列車に乗ってどこかに旅立ってしまった。
少年は、父親を見つけて家に連れて帰ることを決意し 旅に出る。
旅の途中、未知の世界で少年を待ち受けるのは、過酷な労働が強いられる農村や、きらびやかだが虚飾に満ちた暮らしがはびこり、独裁政権が戦争を画策する国際都市だった。
それでも、少年は旅先で出会う様々な人々との交流と、かつて父親がフルートで奏でた楽しいメロディの記憶を頼りに、前へ前へと進んで行く…。
腐敗した現代社会や人間の闇を強く風刺しながら、どこか美しい世界を旅する少年。
少年は、どこへたどり着くのか? ラストでは、愕然とし泣きたくなるような寂寥が!
余韻が残る!傑作アニメ
『父を探して』は、ブラジルのアニメでも 登場人物は喋らないので字幕問題はクリア!
イモ虫のクレイアニメ「ニャッキ!」みたいなので、お子様にもオススメです。
この映画は、驚くことに全くセリフがない! セリフがなくとも映画の面白さ・素晴らしさというものが、これだけ伝えられるものかと ただただ驚き!!
“父はある日、出稼ぎに行ってしまった”・・・少年は父を探す旅に出る。
そして、長い旅を終えた少年が行き着いた先とは?
大好きな”お父さんを探す旅” 父親を想うシーンで涙・・・そして少年の旅路の果ての衝撃!
見た後に いつまでも 心に残る余韻・・・良作です!
作品概要
製作国:ブラジル
監督:アレ・アブレウ
上映時間:80分
日本劇場公開日:2016年3月19日
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