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妊娠したら死にたくなった〜産褥期精神病〜【21巻まで】

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妊娠したら死にたくなった〜産褥期精神病〜, (さんじょくきせいしんびょう)橘ちなつ作1話から21巻までをご紹介。

妊娠したら死にたくなった〜産褥期精神病〜

「妊娠したら死にたくなった〜産褥期精神病〜」は漫画家, 橘ちなつさんのリアルの体験を描いた漫画。

子供を強く望んだけど、妊娠がきっかけで精神的に病んでしまい、メンタルクリニックでは治療できないレベルになってしまいました。

目次

妊娠したら死にたくなった〜産褥期精神病〜あらすじ

妊娠したら死にたくなった〜産褥期精神病〜

わたしたちはひとつの命を授かった。

明るい未来の予感と
かけがいのない命を愛し、育てていく
という幸せな決意。

でも、この先、待ち受けてる未来がこんなにも壮絶なものになるとは、微塵も予想できなかった・・・

「看護師さーん!」
「おねがいしますっ!」

ベッドの上から看護師さんを呼ぶ千夏。

赤ちゃんを産んでから、この日で2ヶ月半。

抱っこしたり、おっぱいをあげてるはずなのに、お母さんである千夏はベッドの上にいました。

しかも、普通のお母さんでは絶対にありえない姿をさせられていたのです。

両手と胴体には拘束具をハメられ、ベッドに固定されていたのです。

1度入院するも、外出許可が出た時には、車に飛び込もうとしたり、マンションの屋上から飛び降りようとしたり、

再入院した時にはベッドに拘束具で縛られ、

自分を精神病にして苦しめる原因になった赤ちゃんを憎んでいた千夏は、
再び母親となるために、苦悩を抱えたまま、努力していくのだった。

『妊娠したら死にたくなった〜産褥期精神病』の登場人物

橘 千夏

31才。元漫画家でその時にうつ病になっていた

涼太

薬剤師。妻を愛している

『妊娠したら死にたくなった〜産褥期精神病』のあらすじ

1巻ネタバレ

結婚して4年。

まだ子供がいない千夏と涼太の夫婦。

夫は子供が好きだけど作らなかった理由は

千夏が過去に抑うつの治療薬をずっと飲んでいたから。

妊娠して出産しても、赤ちゃんに悪い影響が出ては、子供の将来が・・・

子供は欲しかったけど万が一のことを考え、ダンナの意見で妊娠しないように計画していたのでした。

子供を作るということに慎重なダンナとは違い、今すぐにでも妊娠したい妻『千夏』。

街中を歩いてる時に妊婦さんの幸せそうな顔を見ると、あの人も生まれてくる赤ちゃんも幸せなんだろうな。

私も早くお母さんになりたいな

最近の夫婦の話題は、赤ちゃんについてでした。

ああいう幸せな母親になりたい。

こどもが好きな夫のために、産みたい・・・

何度も何度も、妊娠したいことをお願いしていると、

千夏の熱意に押されて、

「本当に薬は飲んでないんだな?」

確認をとった涼太。

「薬はカラダから完全に抜けてる」ということを聞き、この日から子作りを始めていくのでした。

来る日も来る日も朝起きて
妊娠検査薬におしっこをかける千夏。

それからしばらくして、妊娠検査薬におしっこをかけた時、1本の赤い線が検査薬に反応が出たのだった・・・

妊娠したら死にたくなった〜産褥期精神病〜

2巻ネタバレ

妊娠が発覚して大喜びした日から数週間後。

つわりの真っ最中で食べたものをすべて吐いてしまっていた千夏。

通常、つわりのピークは10週目でおさまる。

と専門誌にも書いているのに
身体のだるさと気持ち悪さが抜けず、

家では寝てばかりの日が続いていました。

そんな状態でもなんとか耐えられたのは、

産婦人科に行って
エコーで赤ちゃんが動いてる姿を
モニター越しに見れたから。

ただ、つわりがひどくて
食事もまともに摂れない生活が続いたせいで

点滴で栄養を補給する日が続いてしまうのでした。

「もうすぐつわりは終わるはず」と思っていた妊娠してから半年が経った頃。

一向につわりがおさまることは無かったのでした。

紙パックのジュースすら飲めなくなってしまっていた千夏の体重は、
妊娠前に比べてマイナス8キロ・・・

通院していた産婦人科から総合病院に転院して、
本格的な治療を受けることにしたのでした。

とりあえず2週間の入院になった千夏。

今まで不安でいっぱいで泣く日も多かったのですが、

担当の看護師さんから
”私もつわりがひどかったんですよ”
と、親身になって話を聞いてくれたこと。

そして、同じ病室に入院してる”つわりで悩んでる妊婦さん”と話しをすることで、

出産に向けて、順調に回復しているように見えた・・・

妊娠したら死にたくなった〜産褥期精神病〜2巻

3巻ネタバレ なんでもないのに突然、流れてくる涙・・・

妊娠中は情緒不安定になることがあるということを友達から聞いていた千夏。

そんなことあるのかな?と思っていたけど、その症状は突然、千夏にもあらわれたのでした。

なんでもないのに足が震え出し、涙があふれて止まらないのです。

旦那に不安な思いはさせたくない。

と思えば思うほど、カラダの異変は大きくなっていくのです。

隠し切れると思っていたのは千夏だけで、症状は日を重ねるごとにひどくなり、

足はガクガク震え、涙は溢れ出し、過呼吸になってしまうのです。

ひとりになった時に何をするかわからない。

という理由で、実家に預けられた千夏。

お腹の中で赤ちゃんが動くたびに、

「気持ち悪い!動かないで!」
「私からもう出て行って!」

涙を流しながら、足をバタバタさせて
大きな声で叫ぶようになっていたのです。

心配になった夫が明日病院に連れて行くと言うも、

自分の意志とは関係なくカラダが動く千夏は、

靴も履かないまま
1人で玄関を出てしまうのだった・・・

妊娠したら死にたくなった〜産褥期精神病〜3巻

4巻ネタバレ

千夏に異常ともいえる行動を目の前で見た旦那。

時系列を判断する(朝を待たずに、病院そのまま病院に連れて行くのでした。)

診察室に入ると、

助けて下さい・・・
このままじゃ、赤ちゃんも死んでしまいます・・・

必死にお願いする千夏。

先生が出した診察の結果はノイローゼ。

このまま放っておくと何をしでかすかわからない。

母親と赤ちゃんの命の危険を感じた医師は、予定日よりも早く、赤ちゃんを産んでしまおうと判断したのでした。

出産日前日の夜。

病室のベッドの上で泣いてる千夏。

本来はまだお腹の中で成長するところを自分のせいで1ヶ月も早く出てくることに、罪悪感を感じていたのです。

翌日、無事に2400グラムの男の子を出産した千夏。

助産師さんに赤ちゃんを手渡されると

うまれてきてくれてありがとう

不安から解放され、生まれてきてくれたことに感謝して、泣いてしまうのでした。

赤ちゃんの名前は翼くん。

健康な状態で生まれてきたのですが、早期出産でカラダの機能が未発達の可能性がある。

ということでNICU(新生児集中治療室)に入っていました。

1秒でも早く抱っこしたいけど

千夏は切開手術だったためにまだ歩くことが出来ず、病室から離れたNICUには行けないのでした。

翼を早く抱っこしたい・・・

強い気持ちでリハビリを頑張った千夏。

念願のNICUに行くと、保育器の中でスヤスヤ眠る息子に感動するのでした。

看護師さんに抱っこしますか?と言われて、はじめて自分のこどもを抱っこする千夏。

あたたかくて、やわらかくて、愛おしさを感じてるうちに、

なぜだかカラダが震え出し、その姿を旦那に見られてしまうのです。

病室に戻り、夜。
何もしていないのに足が震えて、眠れない千夏。

出産する前と同じように自分の意志では操れなくなったカラダに、
パニックを起こしてしまうのだった。

妊娠したら死にたくなった〜産褥期精神病〜4巻

5巻ネタバレ

ナースコールを押し、病室にかけつけた2人の看護師。

過呼吸になって震えてる千夏を押さえつけた時、精神科医の男の先生が病室に入ってきたのでした。

千夏の症状を見て、足の震えを抑える薬を出すという精神科医。

でも、出産前に親身になってくれた看護師は『薬を1度でも飲むと、母乳で育てられなくなります。よく考えて下さい。

母親の立場で冷静にアドバイスしてくれるのです。

その言葉を聞いて、生まれてきたらママとして頑張るから。と赤ちゃんに話しかけたことを思い出すも、

赤ちゃんよりも自分の精神的な落ち着きを優先させてしまうのでした。

薬のおかげで症状は軽くなり、赤ちゃんをNICUに残して退院した千夏。

パニックを起こす可能性はゼロではなかったため、実家に里帰りしていたのでした。

実家には初孫を何よりも楽しみにしていた両親が
粉ミルクにおもちゃをたくさん用意していて、

それを見た千夏は怖くて怖くて、大声で叫ぶほど、パニックを起こしてしまうのでした。

大声で叫ぶ千夏を止めることが出来なかった両親。

千夏を部屋に残したままカギを締め、家庭内で監禁したのでした。

知ってる娘とは違う・・・
何かに憑りつかれてしまったのかもしれない・・・

その時、千夏の旦那が実家にやって来て、事情を聴き病院に電話をするのでした。

病院の先生に相談してみると、希死念慮(きしねんりょ)です。
と言われてしまう旦那。

希死念慮とは、疾病や人間関係での問題から逃げるために死を選択する状態

しかも、今は錯乱状態なので、閉鎖病棟に入院させる。
と言われてしまうのだった・・・

妊娠したら死にたくなった〜産褥期精神病〜5巻

6巻ネタバレ

「死にたいよ、苦しいよ」
「おねがい、、、殺してよぉっ」

出産前のパニック状態が再発してしまい
精神科の閉鎖病棟に強制入院させられてしまった千夏。

意味不明な苛立ちと興奮で、病院だというのに大声で叫んでしまうのでした。

面会時間が終わり、病室から出ていった旦那。

それに気づいた千夏はドアを思い切り叩き、自分も家に帰りたいと懇願するのです。

暴れる千夏の動きを止める為、急いでやって来た二人の男性看護師。

お前は正常じゃないんだ。
この場所に相応しい人間だ。

精神が病んでる人間に対して、
普通では絶対に言わないような言葉を言い放つのでした。

そこにやって来た医師は

・ダンナへの強い依存
・症状を改善しようとしない精神的な甘さ

あなた自身の考え方に問題があると思います。と告げたのでした。

精神科の先生と言う権威ある人に言われてしまい、

私は人格破綻者と認めてしまった千夏。

夜になると病室を出て意味もなく数字を数え、病院の廊下をずっと徘徊するようになってしまっていた・・・

妊娠したら死にたくなった〜産褥期精神病〜6巻

7巻ネタバレ

連続ドラマの主題歌から始まる
精神科の閉鎖病棟の朝。

主題歌の歌詞は明るい未来をテーマにしたもので、

そんな歌詞を聞くと余計に自殺願望が強くなっていくのでした。

千夏には日課がありました。
それはエプロンを持ち、トイレに入ることから始まるのです。

エプロンを水道管に縛り付け、そこに首を入れて、窒息死しようとするのでした。

苦しいだけで意識が飛ばない。
やり方が間違ってるのかな・・・

なんど挑戦しても40キロちょっとの体重では、首を絞めることが出来ないのです。

この日も千夏の日課は、失敗に終わってしまったのでした。

千夏が入院してるこの病院の患者は2種類。

1つは「任意入院」といい、自分の意志で入院、退院が出来る。

もう1つは「医療保護入院」といい、強制的に入院させられた人たち。

千夏は「医療保護入院」に分別され、第3者の許可がない限り、退院できないのでした。

朝、飲んだ薬はぜんぜん効かず、不安からそわそわしてしまう千夏。

ナースセンターに行くも後回しにされてしまい、頭が割れそうな痛みに襲われてしまうのでした。

薬をもらう為に廊下で待ってると聞こえてくるのは入院患者の悲鳴。

「おーいおーい」
誰も来ないのに誰かを永遠と呼び続けたり、

「いっそ殺してよ!殺せー!」

自殺願望者が廊下に聞こえるように叫び続けているのです。

そんな悲痛の叫び声を聞いて
「ここにいても、治療なんてしてくれない」
「家に帰った方がよっぽどマシだ」
と思う千夏。

急いで病室に戻り、荷物をまとめて、自分の家に帰ろうとするのでした。

看護師に止められるも、もう治ったみたいなので、帰りますね。
と平然な顔で言ってしまったり・・・

だけど、「医療保護入院」の千夏が自分の意志で退院することなど出来るはずも無く、

退院させてくれない看護師に襲いかかってしまったのです。

普通の治療では効果がない。
と判断されてしまった千夏の腕には

今までとは種類が違う点滴。

仕事を終えて千夏のお見舞いにやって来た旦那が

ベッドに大人しく寝てる千夏を見て安心するも、

千夏の腕に送り込まれてる点滴バックを見て、
血の気が一気に引いていくのだった・・・

妊娠したら死にたくなった〜産褥期精神病〜7巻

8巻ネタバレ

千夏に点滴されてる薬を見て、担当医のところへ向かった千夏の旦那。

薬剤師の彼は千夏に処置してるあの薬がどれだけ強い副作用があるのか
すべて知っていました。

それと同時に、あの薬を打たなければいけないほど、自分の妻の症状が悪いんだ

ということに初めて気づいたのでした。

千夏に投与されていた点滴は

鎮静作用があり、妄想と幻覚を抑える効果があることで有名な薬剤でした。

でも、その代わりに何も考えられない廃人状態にしてしまう

という副作用があったのです。

すでに強い薬を点滴されてしまったという事実を受け入れた旦那。
精神が蝕まれてる妻と一緒に病院の売店に行きくのでした。

夫と会話してることも、この人は何を言ってるんだろうと、何もわからない千夏。

自分が生んだ息子のことも理解不能になっていたのです。

そんな中、こんな状態になっていても、赤ちゃんに会いたいんだろうなと思い込んでいた夫は、

千夏の手を引き、NICUに行くのでした。

さっきまで何も覚えていなかったのに、
自分の赤ちゃんの姿を見て

過去の苦しみをすべて思い出してしまった千夏。

これ以上は、何も考えたくない。
嫌な思いをさせないでっという強迫観念から

こんな子は知らない

気持ち悪いから近づけないで

恐怖に脅えた表情でNICUから出ていこうとするのです。

そんな姿を見た旦那は、また明日くるからね。と言い残して、病室をあとにするのでした。

就寝前の薬を持って病室にやって来た看護師。

手のひらを広げた上に10粒ほどの薬をぽとぽと落としていくのです。

飲んでください

と言われても、

手のひらには何も見えないのです。

薬の副作用で視覚が奪われていたのでした。

突然、失ってしまった視界。

襲いかかってくる何も見えない恐怖。

普通の生活を奪われ、幸せを奪われてしまった

私だけどうして?

絶望に近い感情が千夏の頭の中でぐるぐる回ってくるのです。

「あっ・・・」

その時、

「あの子を妊娠してからだ・・・」

千夏の中の被害妄想は
自分があんなに望んで産んだ、赤ちゃんに辿り着いたのです。

「私の幸せを返してよ」
「あんな子、もう、いらない・・・」

切開手術で出産した時に切ったお腹の傷をさわりながら、千夏は絶望を感じるのだった

妊娠したら死にたくなった〜産褥期精神病〜8巻

9巻ネタバレ

8月上旬。
NICUから翼が退院してから2週間。

千夏の夫は哺乳瓶にミルクを入れ一生懸命に飲む姿に、喜んでいました。

3時間おきのミルク、おむつ交換もひと通りできるようになっていました。

仕事をしてることもあり、この頃の夫は実家暮らし。

仕事と子育ての両立でこの頃の睡眠時間は1日、2時間程度。

それと同時に千夏の病院にお見舞いに行く回数は
毎日から2日に1回へ減ってしまっていました。

正直つらい・・・

でも、もっとつらいのは千夏の方だ・・・

妻を思い、息子の母親として大切に思う旦那は、自分のカラダにムチを打って、お見舞いに行くのでした。

千夏の病室に入ると、焦点が合わず、ぼーっとしてベッドに座っていた千夏。

食事を食べるためのテーブルには、シールが何枚も貼られていました。

シールを貼るという行為は3歳くらいの幼少期の子供に多くみられ、
貼るだけで結果が出るので、達成感を感じられるのです。

不安で精神が幼児化してしまった千夏は、シールを大量に貼ることで、なんとか自分を保っていたのです。

薬が切れてくると1日中妄想を繰り返す千夏。

私の幸せ、そして、すべてを赤ちゃんがぜんぶ、奪っていった
と思い込んでいるのです。

退院させてくれないのは、赤ちゃんが1番大事で、自分は邪魔だから病院に閉じ込めていると思い込んでいるのです。

千夏がこんなことを本気で言うはずが無い。
これは、病気のせいなんだ

「子供なんていなくなればいい」と言い出した千夏を抱きしめる夫。

妻を愛してる夫の目から涙が溢れ出していたのでした。

今はこんな状態だけど、家族3人で幸せな日を迎えるんだ

妻を信じて看病をつづけることを決意したのでした・・・

妊娠したら死にたくなった〜産褥期精神病〜9巻

10巻ネタバレ

同じ病室の患者が退院していくのを見て、羨ましくなってしまう千夏。

この患者は数日前に一時退院して自宅に戻り、

そこで問題がなかったおかげで
家族が入院させる必要はない。と判断したのでした。

そんな千夏を見て
「外泊してみれば?」
とアドバイスしてくれる同部屋の患者。

それまで退院の判断は、お医者さんがしてくれる
と思っていた千夏に、新しい情報がインプットされたのでした。

でも、旦那が出した答えは、『まだ早い』だったのでした。

やっと旦那を説得できたのは、2週間後のこと。

薬を変えたことで、千夏の体調と精神状態は少しずつ改善していったようでした。

千夏を迎えに車で病院まで来てくれた旦那。

閉じ込められていた病棟から外へ出ると、開放的な気分になるのでした。

でも、家に近づいてくるたびにどんどん強くなっていく不安・・・

そして、カラダの不調・・・

病院に戻る?と聞かれても、家に帰った間は普通に生活して、もう治ったというところを見せるんだ。

もう病院には戻らない。
退院するんだっ・・・

強い決意をしていた千夏は、そのまま実家へと帰っていくのでした。

実家に到着すると娘の帰宅に喜んでくれる両親。

でも、そんなことよりも気になるのは、退院を決定する権限を持ってるのは夫であるということ。

まるで面接の時みたいに千夏は夫の前では絶対におかしなことはしない。と決めていたのでした。

そんな中、

ピンポーン

家にやって来たのは、翼くんを抱いている旦那の母親。

泣いてる息子を見た千夏は、この子のせいで私は被害者・・・

という気持ちが抜けないけど、

今、涼ちゃんが見てる。
試されてるんだ・・・

本当はつらかったけど、退院するためだけを考え、

「ママだよ」

息子の目をしっかりと見て、大切にだっこするのでした。

さっきまで泣いていた翼くんは、千夏にだっこされて泣き止み、

息子に対する敵対心は少しずつ薄れて、千夏は哺乳瓶でミルクを飲ませるのでした。

その姿を見た旦那は、もう大丈夫かなという考えが。

でも、千夏の本当の気持ちは、体温は生ぬるいし、ぐにゃぐにゃだし、甘ったるいニオイがするし。

みんなはこの子を心の底から可愛いと思ってるの?

母親の考えとはまるで無縁のことを思っていたのでした。

自分があの病院から退院するために、実家では子供と夫への感謝を言葉にする

ウソを貫き通した千夏。

夫にウソをつき、周囲の人間をダマして勝ち取った退院は

あっという間にバレていくのだった・・・

妊娠したら死にたくなった〜産褥期精神病〜10巻

11話ネタバレ

病院を退院して1ヶ月。
実家で暮らしていた千夏。

精神異常者として扱う閉鎖病棟とは違う温かい空間に自分がいることで、

『正常な人間の証拠』と自分の価値を認めていたのでした。

薬を飲んでるおかげで、症状は周りにバレてないまま、旦那と一緒に買い物に行った千夏。

買い物中に見つけたのは、こどもが遊ぶお絵かきセット。

結婚前に漫画家をしていた千夏は、正常だった時を取り戻そうと、

原点に帰るためにお絵かきセットを買ってもらうのでした。

家に帰ると、娘の行動の変化に喜ぶ母親。

自分を取り戻そうと、必死に絵を描いていくのです。

でも、人間を描いてみると、線はぐにゃぐにゃで目からは黒い血を流してるような

怪物みたいな人しか描けないのです。

そんな時、赤ちゃんの泣き声と、母親が泣き止むように話しかけてる声を聞いて、

千夏の頭はパニックになり、
持っていた鉛筆をテーブルに突き刺すのでした。

その大きな音を聞いて、千夏を見る母親と、異常を感じて隣の部屋からやって来た旦那。

「すぐに黙らせてあげるから」
「それを私に貸して」

千夏の精神は崩壊してしまったのでした・・・

妊娠したら死にたくなった〜産褥期精神病〜11巻

12巻ネタバレ

自分がこうなってしまったのは
全部、自分のせい。

赤ちゃんを欲しがってしまった自分のせい。

だから、旦那を苦しめてるし、全部、自分が悪いんだ・・・

頭を床に打ちつけながら、自分は過ちを犯してしまった。

と。赤ちゃんを望んだことを神様に謝る千夏。

病院から「何かあった時のために」と処方されていた薬は
すでに効かないほど、症状は悪化していたのでした。

錯乱状態になってる千夏を見ても、妻を愛し、底なしの優しさで包み込む旦那。

でも、ダンナの愛情を感じれば感じるほど、

「この人を苦しめてはいけない」

という気持ちが大きくなっていくのでした。

そんな中も、千夏の症状の悪化は止まる事がなく、

夕方になって外でカラスが鳴いてるのを見ると、

カーカー・・・

部屋の中でカラスと同じ泣き声をするのでした。

見た目は愛してる千夏。

でも、頭とココロの中はまるで別人になってしまった妻。

憐みではなく、同情でもなく、

自分が守ってあげれなかったことに罪悪感を感じた旦那は、千夏を抱きながら泣いてしまうのでした。

泣いてる旦那を見て

「もういいよ」
「十分、よくしてもらった」

「アナタは私と結婚しなかったら」
「幸せな家庭を築いていたはずなのにね」

力の抜けた声で語りかける千夏。

そんな時、ダンナの携帯に義母から着信。

『熱が出てしまって赤ちゃんにうつしてしまうかもしれない』とSOSの電話でした。

千夏は自分の母親に電話して、週末に自分の面倒を見て欲しいとお願いするのでした。

でも、この電話はウソで、本当は電話をかけたフリ・・・

病院に戻るくらいならいっそ・・・

マンションの屋上から飛び降りる覚悟を

決めていたのだった・・・

妊娠したら死にたくなった〜産褥期精神病〜12巻

13巻ネタバレ

熱がある母親の家に行く旦那を、玄関で見送ってる千夏。

旦那は千夏を1人にするのは心配だったけど、

「今日は調子が良いから大丈夫」
「ここは1番安心する場所だから」

目を見つめながら言ってくる千夏を信用したのでした。

笑顔でドアを開けようとする旦那。

スマートな形でお別れをしようと思っていたけど、

千夏は思っていたけど、

旦那の顔を見てるうちに

今が最期なんだ。
これで最期なんだ。
もう、この声を聞けるのは最期なんだ。

そう思うと、キスして欲しいとお願いをしてしまうのでした。

キスをして、見送りの挨拶をして、ドアを開けて出ていった旦那。

玄関のドアが閉まると、涙が自然とこぼれ落ちてくるのです。

手で涙をぬぐい、震える足をおさえながら、あと2時間しか時間は残されていない。

千夏は最後の準備をすすめていくのでした。

用意したのは、

婚約指輪
ダンナのニオイが残るパーカー

そして、感謝の気持ちと迷惑をかけてしまったことを謝る内容が書かれた遺書でした。

すべての思いを1枚の紙に書き、ありがとうございました。

今まで住んだ部屋に挨拶して家を出ていく千夏。

飛び降りる場所は決まっていて、歩いてそこまで向かうのでした。

ちいさい頃からずっと育ったこの町。

目的の場所に向かうまで、色んなことを思い出すのです。

自分が生まれた産婦人科の前に立つと
不妊治療で苦労してまで産んでもらったことを思い出し、

自分が望んだはずのわが子に、一度も愛情を注がなかったことを反省するのです。

そして、自分があんなに望んだ自分の子供に母親という存在が無くなってしまう事が申し訳なくて、

涙があふれ出してくるのです。

やっぱり生きよう。あの子には母親が必要だ。

そう思って飛び降りるのを止めようとする千夏と

これ以上生きていたって、何もいいことなんてない。

と思う千夏。

でも、自分の気持ちとは反対に、マンションの屋上に向かって、勝手に歩いてしまう自分の足。

死んだらだめ。
あの子のために生きよう。

そう思ってるのに、数分後にはマンションの屋上の1番端に立っていたのです。

ゆるしてください。
しばらくは苦しめてしまうと思うけど。

こうするしか、みんなを私から解放することはできないの。

私、ほんとうはあなたと親子になりたかったよ・・・

14巻ネタバレ

サンダルを脱ぎ、落下防止の柵に登った千夏。

心の中で
「さようなら」とつぶやいた時、家に置いてきたと思っていた携帯電話が鳴ったのでした。

出ない。と思っていたけど、
最期にひと言だけお礼の気持ちを伝えたくなり、電話に出てしまったのでした。

電話に出ると

1秒でも早く会いたいという気持ちから明るい雰囲気でしゃべてくる旦那。

でも、千夏は一切しゃべることなく、ダンナは異変を感じるのでした。

そして、マンションの屋上にいるせいで風の音が通話口から聞こえて来て、

千夏は家にいない。
もしかして・・・そう思った時、

今までありがとう

千夏の声が聞こえて来たのでした。

「どこにいるのおおおお」

千夏が自殺することを瞬時に理解したダンナ。

さっきまで明るかった顔はなく、

「やめてやめてやめて」
「頼むから絶対に死なないで!」

大きな声で想いを伝えるのでした。

そんな事を聞いても、
自分をコントロールすることが出来なくなっていた千夏は、

本当は私だって死にたくないけど、頭が勝手に死ぬ方に向かっていくの

今まで誰にも言えなかったことをはじめて旦那に伝えるのでした。

電話をしたまま、千夏のいるマンションへ車を走らせるダンナ。

そして、必ず治るから。

1歩ずつ、そこから離れよう

と怒らないように、千夏の気が変わらないように優しく、ゆっくりと話しかけ続けるのです。

数分後、マンションの1階に立ってる千夏を見つけた旦那。

飛び降りずに生きてくれていたことに感謝して、千夏を力強く、抱きしめるのでした。

千夏を車に乗せて最初に向かったのは、千夏の実家。

ダンナは両親に事情を説明し、両親は娘がそんなに追い詰められた状況だったことに泣いてしまうのでした。

そして、次に向かったのは両親を車に乗せて、自分たちのアパートへ向かったのです。

テーブルには、千夏が書いた遺書。

それを見た瞬間にビリビリに破り、荷物をまとめて車に乗り込んだのでした。

向かったのは千夏が絶対に行きたくなかった閉鎖病棟がある病院。

自殺未遂をしたということを主治医に伝えると、

暴れるのを防止するために拘束具を装着するのが入院する絶対条件
と言われたのでした・・・

15巻ネタバレ

鉄格子で施錠されてるドアを開け、閉鎖病棟に再入院させられることになった千夏。

2週間前に退院する前はあんなに暴れていたのに、

飛び降りも失敗。
また家族に迷惑をかけてしまう。

そういう思いが心の中で増幅していたせいで、病院に入ってからは、一切抵抗しなくなっていました。

案内してくれた看護師が病室のドアを開け、千夏、旦那、そして両親の目に映ったのは、

今まで1度も見たコトがないベッド。

シーツの上には布と皮で作られた拘束具が仰々しく存在。

ベッドに寝かせられると看護師が暴れてない千夏のカラダを押さえつけ、

上半身、そして両手首に拘束具が取り付けられたのです。

まるで人体実験でもするような姿。

自分の娘がベッドに寝かせられてる姿を見て、肩を震わせ、嗚咽を漏らしながら泣く母親。

まるで自分が不妊治療までして産んだせいで、こんなことになってしまってごめんね。

と言ってるように見えるのです。

自分の姿を見て泣いてる母親を見て、自分がこんな風になっちゃったから・・・
お母さん、泣かないで。
ほんとにごめんね。と思う千夏。

そんな親子の前で、患者に対して何も思わない看護師は

千夏の下着を脱がして尿道に1本の管を挿入していくのです。

このベッドに寝た人間はトイレに行くことすら許されないのです。

両親を泣かすほど、自分が他の人よりも劣ってしまってる。

千夏が後悔で一杯になってる時、
看護師は生理はじまってるよ?
と、こんな状況なのに迷惑ね。
そんな人を人と扱わないような最低な言葉を、口にするのです。

千夏に拘束具と尿道カテーテルを装着したあと、家族は面会謝絶に。

その夜、千夏は眠れない夜を過ごすのだった。

翌朝、点滴を交換するためにやって来た看護師に
いつまでこの状態が続くのか?と聞いてみると、

主治医が不在なので明日まではこのままです。と言われてしまうのだった。

前回入院していた時は、他の患者との相部屋。

でも今は千夏ひとりだけの個室。

わずかに残っていた正気は、自分の動きを封じ込める拘束具を見て、あっさりと崩壊してしまうのだった・・・

16巻ネタバレ

手を拘束されてるせいで、ナースコールを押せない千夏。

大きな声で何度叫んでも、看護師さんは無視してくるのでした。

看護師を呼んだのは、拘束具に布をかけて欲しかったから。

大袈裟なほどグロテスクな拘束具を見るだけで
正気を失ってしまうので、天井を見てるのが辛かったのでした。

拘束具を装着されてからすでに24時間以上が経過。

血液の流れは悪くなり、全身がむくんでしまっていたのです。

拘束具で縛られてるという行為は、肉体的に衝撃を与えるだけでなく、精神的にも千夏を苦しめていたのです。

本来なら自由気ままに動ける行為を剥奪し、
肉体的に正常な大人がおしっこはカテーテルで容器に流し、
便はおむつの中に排泄することしか出来ないのは、人としての自尊心を深く傷つけるのでした。

病院としては治療なのかもしれないこの行為は、患者側にしてみると、「拷問されてる」と同じ苦痛なのでした。

そして、こんなにツライ思いをしてる千夏は病院のスタッフの中で

オオカミ少年』と呼ばれていて、

いつでもウソをついてくる手のかかる患者とされ、治療を放棄される事態になっていたのでした。

17巻ネタバレ

精神科閉鎖病棟の看護師にウソつき扱いされた千夏。

酷く傷ついたと同時に、自分が暴れてる時にもしかしたらウソをついていたのかもしれない。

いや、きっとそうに違いない。

でも、あんな言葉を精神科に入院してる千夏に馬鹿にしたように、

そして憐れに思うような
上から目線で口にしていいのか?
自問自答するのでした。

その日の夜も、そればかりを考えて眠れなかった千夏。

翌日、旦那がお見舞いに来てくれて、痩せこけた顔を見るのでした。

苦労をかけたこと、迷惑をかけたことを謝罪する千夏。

そして、

あの時は早く死にたくて仕方なかったけど、今は生きてることに感謝している。とダンナの顔を見ながら伝えるのでした。

千夏の別人みたいな言葉と
悩みが消えてきたような妊娠前と同じ顔を見て

普通の会話もできるのではないか?

オレに出来ることはあるのではないか?

千夏のために、今できることは全部やってあげようと思うのでした。

拘束具が怖い

という千夏のために

ベッドに寝て、拘束具を装着するダンナ。

楽しそうにしてる旦那を見て、千夏の拘束具に対する恐怖心が少しずつ無くなっていくのです。

面会時間が過ぎた頃、病室にやって来た担当医。

病院を休んで拘束具から
解放してあげれなかったことを謝罪したあと、

「なんて馬鹿な事をしたんですか」

千夏が再入院前にした
飛び降り自殺未遂について、
1時間かけてお説教を始めたのです。

  • 残された家族の人生にどれだけ深い傷を残すのか
  • 自死遺族の地獄のようなツライ人生

を、丁寧に説明してくれるのです。

おそらく何人もそういう患者と患者遺族を見てきた先生の言葉は
今の千夏のココロに深くささり、

もうしません。と約束をするのでした。

18巻ネタバレ

千夏に投与する薬はこの日から1種類だけに。

今まで12種類も薬を飲んでいたのに
急に1錠になって、不安になるのでした。

どうして薬が少なくなったのか?

というと、千夏の病気が、疑っていた統合失調症ではなく、

漫画家時代に飲んでいた薬の副作用が今でも続いてしまっていた。という判断をしたのです。

新しい薬のテスト期間は、プランでは2ヶ月の予定。

早い人で2週間程度で改善が見られる場合があるも、

千夏のように妊婦が以前に精神科に通院していて
長期間薬を飲み続けた前例がなかったのです。

これからの治療方針を聞いて
安心と不安が込み上げてくる千夏。

ダンナは帰る前に自分たちのこどもについて千夏に告げていったのです。

その内容は

そろそろ生後100日で、お食い初めの時期であること。
まだ行ってないお宮参りに行きたいこと。

そして、それらの行事は、母親である千夏も一緒に連れて行きたいし、

千夏が良くなるまで待つ。ということでした。

でも、

・自分はいかない。
・そのかわり、ビデオで撮影してきてほしい。

とお願いするのでした。

そう言った理由は、先生は2ヶ月で病気が改善する場合もある。と言ったけど、

その可能性は100%ではなく、1年後かもしれないし、ずっと先まで治らない可能性もある。と思ったのです。

これまで色んな迷惑を家族にかけてしまって反省してる千夏は、これ以上家族に迷惑をかけたくないのです。

でも、本心は息子の成長する姿を1番近くで見守りたいのです。

治りたい。治りたい。
正常な自分に戻りたい。

この病院にいても治る保証が一切ないせいで、どんどん頭が混乱してしまう千夏。

息子への思いが強くなった分、頭は錯乱し、足を強くベッドに打ちつけてしまうのです。

千夏の病室から暴れてる音を聞いた巡回中の看護師。

部屋に入り、泣いてる千夏を見て、相談相手になってくれるのでした。

  • お食い初めに行けない事
  • お宮参りに行けない事
  • そばにいてあげれないこと
  • 抱っこをしてあげれないこと

今悩んでるすべての事を看護師に全部、ぶつけていくのです。

全部、口にして頭が整理できた千夏。

冷静になってきた時、看護師は千夏が1番望んでいた言葉を口にしてくれるのです。

絶対に治ります。と・・・

その言葉は千夏に薬よりも効果があり、ココロから安心した千夏は
次の日から退院を目指して頑張っていくのだった。

19巻ネタバレ

胴体には拘束具が装着されたままだけど、
この日から手首の拘束具を外す許可が出た千夏。

自分の行動を冷静に判断するために
日記をつけはじめたのでした。

以前は字をまっすぐに書けなかったけど、
この頃には普通の文字をかけるように。

行動記録を日記でつけることには他にも

・何かに集中してる時は平穏な精神状態でいられる

という副産物もあったのです。。

安定してる状態は看護師、担当医にも認められ、
拘束具を外されて病棟内を自由に歩き回れる
以前はなかった自由時間を与えられるようになっていました。

デイルームに集まって楽しそうにしてる患者を見つけた千夏。

漫画が得意な自閉症スペクトラム障害の「Tくん」という患者に似顔絵を描いてもらうことにしたのでした。

しばらくしてお見舞いにやって来た旦那。

千夏が昔と同じ笑顔で笑ってる姿を見て、
「治ってきた」
「もとに戻って来た」
千夏の変化に、涙を流して喜んでくれるのでした。

自分が変わってきてる。
昔みたいな正常な人間に戻ってきてる。という自覚が少しずつ出てきた千夏。

退院した時に息子の母親でいれることを目標に、自分なりに失った時間を取り戻そうと努力するのです。

まず最初にやったのは、自分と息子のアルバム整理。

出産した直後に息子と写した写真。
NICUに入ってる未熟児の息子が写ってる写真。

それを全部、1冊のアルバムに綺麗に並べて貼り付けていくのです。

「今はまだつらい」
「でも、絶対に愛して見せるから」

自分が望んで産んだ子供と
真正面から向き合うために、1人病院で母親は頑張るのだった。

20巻ネタバレ

再入院してから2か月が経とうとしていた頃。

拘束具を解除する許可が出て、個室から大部屋に移動していた千夏。

でも、まだ退院できる程の改善ではなく、食欲もないままだし、息子の写真を長い時間見ることが出来ないのでした。

息子の写真を見るとゾクゾクと悪寒を感じてしまうのに、実物を見た時にどんな反応をしてしまうのか?

また以前みたいに憎い気持ちが出て嫌いになってしまったらどうしよう・・・

という不安が強く、
それを今は1番に解消したいのです。

自分には母性が足りないんだ。と自覚していたのでした。

入院して3月目になったこの日。
再入院してから初めての外泊。

病院での異常行動が無くなっていた千夏に外泊許可が出ていたのでした。

迎えに来てくれた旦那の車に乗り、実家に向かう千夏。

今、1番の願いは

2日間無事に過ごせますように。

でした。

玄関に入った瞬間から、不安と緊張でドキドキしてしまう千夏。

ゆっくり、そしてビクビクしながら部屋に入ると、
そこにはベビーベッドで眠ってる翼くんの姿があったのでした。

1か月ぶりに見た息子。

眠ってる息子をダンナから手渡された瞬間、首がグシャリと曲がり、

赤ちゃんという拒否し続けた存在に、一気に緊張が高まってしまうのです。

その時、息子は目を覚ましてしまい、

首をだらーんと垂れ下げたまま
頭をグルグルと振り回すのです。

それを見て、胎内で動いていた記憶が蘇ってしまうのだった・・・

21巻ネタバレ

特に大きく取り乱すこともなく、無事にお食い初めが終わり、実家を出て自分のアパートに向かう千夏。

自分の息子を抱っこしただけだけど、達成感よりは疲労感の方が強かったのでした。

ダンナがほめてくれるも、その顔は疲労でいっぱい。

これからもっともっと良くなっていくよ。といわれると、プレッシャーで胸が苦しくなってしまうのでした。

車は進み、到着したのは旦那の実家。

外泊だけど、一時退院したことを
嬉しそうにしてくれる義母。

病院を出てから色んな人、色んなものを見て恐怖心を覚えてしまう千夏。

病院には存在しなかった自分の所有物を見るだけで、心がざわざわしてしまうのです。

あんなに、退院したかったのに、いざ退院してみると想像とは違った精神的緊張。

なかなか眠ることが出来ないのです。

そんな時、病院から持ってきた「たまちゃん」が描いてくれた自分の似顔絵。

それを見ると自然と笑顔になり、元気をもらえるのでした。

目を閉じると浮かんでくるのは
優しくアドバイスをしてくれる看護師さんと先生。

そして、同じく精神病に苦しむけど、明るい患者たち。

「えっ・・・」

千夏は気が付いてしまうのです。

病院、患者のことを思い出すと
退院して実家で眠ってる”この瞬間”よりも落ち着いてることに。

あんなにイヤだった閉鎖病棟が自分にとって居心地がいい場所になってることに・・・

翌日、病院に帰る時間。

両親と旦那がいる前で毎週外泊をしたい。

でも、完全に治るまでは退院しない。

お願いする千夏。

そして、今までかけた肉体的負担と金銭的負担を謝るのだった。

病院に戻り、再度入院した千夏。

毎週、外泊するために強い薬に変えてもらうのだった・・・

ここまで読んでの感想

・身動きできないほど革製の●●で拘束する行為
病院側は「保護」というが、患者と患者の家族は「拷問」と思う。

ドクターの私的な権限で、患者の処置をされてしまうのは、冗談じゃないと思う。

拒否しても、何でもされてしまう。
間違っていたとしても、医療行為は崇高である。
と信じ切ってる医者に、精神科の患者を診る資格はない。

・身体拘束は”人の尊厳を奪う行為”である。
また、医師はすごい人間という特別な価値観で見る人も多く、
医師が行う行為は最も適切なんだろうと、断れない人が多いのも事実。

・精神に疾患がある。と一度診断されただけで、
その人はそれから人間としてみなされない。
という現実をしり、怖くなりました。

・法律と医療現場にはその常識が乖離していることを知り、現場も大変なのはわかりますが、当事者はもっと大変なんだよ。というのを多くの人に知ってもらいたいです。

・暴れる原因は必ずしも1つではないのに、精神科医の無知なせいで、被害者が増えていく事実を、力ある人に知って欲しいと思った。

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