2021年11月に劇場公開された「閃光のハサウェイ」の予告編動画は、こちら
「閃光のハサウェイ」の概要
自分の信じた道を往く。
そう生きることが出来れば、どんなに幸せだろうか。
平々凡々な人生を送る筆者は常々そう考える。
自分の思うまま行動し、思うがまま結果を手にする。
きっと、自分の人生が輝いて見えるのだろう。
しかし、信じた道が屍山血河の阿修羅道ならばどうだろうか。
築いた屍の山の頂から見下ろす世界は、果たして自分の理想の姿なのだろうか。
血の河に浸された両の手で掴んだ幸せに、胸を張れるのだろうか。
地球の重力に縛られたこの身には、その道も、道を往く旅人の姿を想う事すらままならない。
願わくば、その旅路の果てに善き終わりがあることを祈るだけである。
主題歌
「閃光」
作詞・作曲 – 川上洋平
編曲 – [Alexandros] & Takashi Saze、歌 – [Alexandros]
スピーディーで爽快感のある楽曲に加え、ガンダム作品を彷彿させる歌詞が特徴的なナンバー。
ネット上では、この楽曲を用いて腐敗した地球連邦政府に反省を促すマフティー構成員が後を絶たなかった。
あらすじ
宇宙世紀0093年、後に第二次ネオジオン抗争(シャアの反乱)と呼ばれる地球連邦政府とネオジオン軍との間で生まれた戦火の中に、ハサウェイ・ノアはいた。
激戦の最中、彼は初恋の相手であるクェス・パラヤの死、アムロ・レイとシャア・アズナブルの因縁の決着、そして人が持つ可能性の輝きを目にする。
それから時は流れ、宇宙世紀0105年、第二次ネオジオン抗争から12年の時が経った。
地球環境の汚染は進み、連邦政府は強制的に一般人を宇宙へ連行する「人狩り」という非人道的政策を行っていた。
これまでに流れた血を無駄にしない為、青年となったハサウェイは反地球連邦組織である「マフティー」への参加を決意する。
やがて中核を担う様になった彼は、組織の表向きのリーダーである「マフティー・ナビーユ・エリン」として動乱の最中へと突き進んで行く。
アムロと同じくガンダムに搭乗し、シャアと同じく地球の保全を掲げる戦士となったハサウェイだったが、連邦軍大佐ケネス・スレッグと、クェスを彷彿させる少女ギギ・アンダルシアとの出会いが、彼の運命を大きく変えていく…。
登場人物の紹介
ハサウェイ・ノア
本作の主人公。地球連邦軍の英雄的存在であるブライト・ノアを父に持つ。
父が連邦軍人ということもあり、第二次ネオジオン抗争においては民間人の立場ながら戦火の只中に置かれる身となった。
初恋の相手であるクェスの死を経験しながらも戦火を乗り越えたハサウェイだったが、その心には大きな傷が残った。
青年となった後、地球に降り立った彼はアマンダ・マンサン教授の元、植物監視官としての訓練を受ける日々を過ごしている。
しかし、これはあくまでも仮初のもので、実際は反地球連邦組織であるマフティーの一員であり、本編が開始される頃には、その中枢を担う存在にまで達している。
シャアが唱えた地球を保全すべきという思想に惹かれており、その実現とこれまでの戦争で失われた命を無駄にしないという考えを持ってマフティーでの活動を続けるが、地球での活動を経て、自身の行為そのものへの迷いや葛藤が生まれていく。
同時期にケネス・スレッグ、そしてかつての想い人であるクェスを彷彿させるギギ・アンダルシアと出会う事で、改めて自身の過去と向き合う事となり、彼の苦悩はさらに強まっていく。
全てを断ち切る様にクスィーガンダムに搭乗し、操縦桿を握る彼を待つ未来とは。
ギギ・アンダルシア
本作のヒロイン。見目の良さに加え、ハウンゼン(政府高官等の高位の者や、何かしら事情ある者が搭乗出来る月と地球を行き来する往還シャトル)に搭乗している事から、何かしら大きな後ろ盾を持つことを示唆させる。
ハウンゼンにてハサウェイ、ケネスと出会って以降、行動を共にし、時に彼らを迷わせ、時に道を示す悪魔とも女神とも取れるような少女。
高位の人間の様に振舞える一方、直感的に興味を惹かれる相手に好意を示し、形式的な言葉や振る舞いには靡かない。
大人と子供の両面を併せ持つギギの存在は、ハサウェイにとってかつての想い人であるクェスを彷彿させるということもあり、彼の行動や思想に大きな影響を与える。
ケネス・スレッグ
地球連邦軍将校の男性。階級は大佐。
第二次ネオジオン抗争にて第一線で戦った経歴を持つが、終戦後は新型モビルスールの開発を行っていた。
地球で激化するマフティーの反乱の鎮圧を目的としたマフティー討伐部隊の後任の司令官として着任するべく、地球へ向かうハウンゼンへと乗り込む。
そこでハサウェイ、ギギと運命的な出会いを果たす。
柔和な立ち振る舞いの中に怖さを隠し持っており、必要となればその怖さを表に出す。
ハウンゼンにてハサウェイと会話した際には、マフティーを肯定する様な言葉を発する一方、任務であるマフティー殲滅は確実に遂行しようとする彼の姿はハサウェイに強いプレッシャーを与えた。
総じて自制心のある凶暴な男。
レーン・エイム
ケネスがマフティー討伐部隊に事前に送り込んでいた新型モビルスーツ、「ペーネロペー」の開発パイロット。
自機の事は「ペネロペー」と呼ぶ。
開発パイロットとしては優秀な成績を残しているが、実戦経験は無く、それでいて現状に満足している姿勢がケネスの評価を下げている。
劇中では実戦経験の無さが如実に出ており、散々な戦果となっている。
登場モビルスーツの紹介
クスィーガンダム
アナハイム製。ハサウェイの搭乗機。かつてアムロが搭乗したニューガンダムを継ぐ意味合いを持って名付けられた新型のガンダムタイプモビルスーツ。
ミノフスキー・フライト・ユニットを両肩に装備しており、重力圏においても飛行を可能とする。
大気の干渉をコントロールするビーム・バリアーも搭載されており、ミノフスキー・フライトユニットを展開し、フライト・フォームへ変形した状態でバリアーを使えばマッハ2に近い速度を出すことも可能となっている。
兵装に関しても独自のアプローチが行われており、その最たるモノとしてファンネル・ミサイルが挙げられる。
重力下では基本的にファンネル(サイコミュによる遠隔操作を用いてオールレンジ攻撃を可能とする兵器)が使えない為、ファンネルに変わる誘導兵器としてクスィーガンダムに搭載されている。
ミサイルにミノフスキー粒子を通して方向指示を行い、まるでファンネルかの様に対象へのミサイル攻撃を行えるのが本兵装の特徴となっている。
端的に言えば、超高機動・超高火力・超高出力のハイパフォーマンスモビルスーツであり、ガンダムの名に恥じない圧倒的な存在感を放つ。
戦力の少ないマフティーにおいて、クスィーガンダムは戦略の要となる程に強力無比な機体であり、言い換えればクスィーガンダムがあるからこそ戦えると言ってもよい。
ペーネロペー
アナハイム製。レーン・エイムの搭乗機。
クスィーガンダムと同じくミノフスキー・フライト・ユニットを装備している。
性能・武装においてもクスィーガンダムと基本的に同等となっているが、クスィーガンダムに搭載された技術の方がより完成されたモノとなっている。
クスィーの姉妹機の為、外見以外そこまで差は無い様に見えるが、本機最大の特徴はオプション装備のフィックスド・フライト(F・F)ユニットの分離にある。
ペーネロペーという呼称は本体であるオデュッセウスガンダムに上記のF・Fユニットを装備した状態のことを指している。
その為、仮にペーネロペー状態で攻撃を受けても、F・Fユニットと分離し、戦闘を継続させることが出来る。
この設定は原作小説には存在せず、プラモデルやゲーム作品に出演する際に用いられているが、今回のアニメ化において是非とも映像化して欲しいものである。
感想
長年に渡ってガンダムファンを魅了しつつも、映像作品になっていなかった閃光のハサウェイですが、今回いよいよアニメ化ということで喜びも一入です。
G GENERATIONやスーパーロボット大戦と言ったテレビゲーム作品では動くハサウェイ、動くクスィーガンダムは既に存在しますが、やはりアニメで見たいと思っていたファンは多かった筈です。
キャスト陣の変更という一部の人間にとってネガティブな報せが耳朶を打ちましたが、劇場で作品を視聴した際は、変更後のキャストの方々の好演も相まって全く気になりませんでした。
三部作で描かれるということですが、第一部である本作は導入からペーネロペーとの戦闘までが描かれており、キリも非常に良く早くも第二部が待ち遠しいです。
特に戦闘シーンのデキは圧巻の一言で、終盤で繰り広げられたクスィーガンダムとペーネロペーの第五世代モビルスーツ同士の超高速戦闘は瞬きが許されない程のスピード感を持って描かれていました。
戦闘に関しては上記の高速戦闘シーンに加え、市街地戦も見応え十分の内容となっており、モビルスーツ戦を行っている足元が如何に危険なのかが詳細に描かれていました。
ストーリーに関しては、ハサウェイの苦悩や葛藤に重点的にスポットが当たっており、もがく彼の姿が鮮明に描かれていました。
とはいえ、1000年先の地球を見据えた暇人テロリストに感情移入をすることは難しかったですが…。
ラストシーンはクスィーを手に入れて爽やかな笑みを浮かべて喜ぶマフティーの面々が描かれましたが、澤野氏の楽曲も相まって非常に和やかなシーンとなっていました。
彼らの行いで散っていった命のことなど、まるで忘れたかのようでした。
人は過ちを繰り返し、そして答えを急ぎすぎる生き物であることは過去のガンダム作品が証明していますが、願わくばマフティーの面々がそうならないことを、原作小説の結末を知っていても祈るばかりです。
まとめ
非常に高いクオリティでアニメ化された閃光のハサウェイ!
劇場公開自体は終了して久しいですが、現在はDVD、Blu-rayに加え各種サブスクにて視聴が可能となっています。
ガンダム未見の方にも入門編として非常にオススメ出来る内容となっており、この作品をキッカケとしてファーストガンダムや逆襲のシャア、その他ガンダム作品を見てもらいたいですね。
どんなコンテンツもご新規さんが居なくなれば存続は不可能です。
2022年もガンダム作品はアニメもゲームも新作ラッシュが続きますし、10月には久々のテレビシリーズ作品である水星の魔女が始まります。
その為にも今は新規の大量獲得が必須。何とでもなるハズだ!やってみせろよ、マフティー!
キャスト&スタッフ
キャスト
ハサウェイ・ノア/小野賢章
ギギ・アンダルシア/上田麗奈
ケネス・スレッグ/諏訪部順一
レーン・エイム/斉藤壮馬
ガウマン・ノビル/津田健次郎
エメラルダ・ズービン/石川由依
スタッフ
企画・製作:サンライズ
原作:富野由悠季 矢立 肇
監督:村瀬修功
脚本むとうやすゆき
キャラクターデザイン:pablo uchida 恩田尚之 工原しげき
キャラクターデザイン原案:美樹本晴彦
メカニカルデザイン:カトキハジメ 山根公利 中谷誠一 玄馬宣彦
メカニカルデザイン原案:森木靖泰 藤田一己
総作画監督:恩田尚之
色彩設計:すずきたかこ
CGディレクター:増尾隆幸 藤江智洋
編集:今井大介
音響演出:笠松広司
録音演出:木村絵理子
音楽:澤野弘之
配給松竹:ODS事業室
キャスト陣はテレビゲーム(G GENERATIONやスーパーロボット大戦)版から全員変更となっており、長きにわたってハサウェイを演じていた佐々木氏の降板はファンに衝撃を与えた。
原作小説の朗読や別キャラクターを通じて本作に出演しているが、佐々木望版ハサウェイを期待していたファンの胸中は穏やかではないだろう。
筆者もそのうちの一人であったが、小野賢章氏の好演により溜飲が下がった形だ。
続いて製作スタッフ陣に関してだが、当然と言えば当然かもしれないが、これまでのガンダムシリーズに携わった面々が揃っている。
特に澤野弘之氏は、戦国BASARAや進撃の巨人の音楽も担当している為、普段ガンダム作品を目にしない人々でも知っている方は多いのではないだろうか。
カトキハジメ氏の大ファンである筆者個人としては、彼が再デザインしたMSが見られるというだけでも、本作を見る理由足りえると考えている。
「閃光のハサウェイ」のレビューを調べてみた
「RRRを楽しいダンスの映画だと思って映画館に行くのは無理だろ!!」とは思うが、2年ぐらい前に「えっ!?閃光のハサウェイってガンダム出てくるの!?」みたいな感想がバズってたしマジで上手いこと情報にアクセスしない人間って居るのか……?
コメント