1巻あらすじ
【第1話 運命の第一球】
始まりは、中学校生活最後の試合、最終回の二死満塁、カウントは3-2の場面に投手が放った大暴騰から始まります。
ど田舎の弱小校のエース沢村 栄純(さわむら えいじゅん)は試合に敗れ、整列後にこのチームを全国に連れて行けなかったことを悔い号泣します。
しかし、相手チームは田舎の弱小校で全国を語っていること、中学が統合で廃校になってしまうこと、試合に女子が出場していることを笑います。
その瞬間・・・・相手の選手全員に「闘魂注入」のビンタをし始めます。
その様子を球場で見学している若い女性がクスっと笑います。
次の日、監督から職員室に呼ばれ、説教を受け、さらには高校の推薦も取れなくなってしまうかも知れないことを言われますが「バットとボールがあれば野球は出来る!」と全く後悔しておらず、そのまま職員室から逃げ出します。
しかし、中学で一勝も出来なかったことを悔やみます。
その後教室に戻ってくると、沢村にみんなが駆け寄ります。
皆も推薦の話が流れてしまったことを心配しますが、沢村は「みんなで甲子園に行きたい!」と目標を掲げます。
しかし、野球一筋の沢村には皆と同じ高校に行けるほどの学力がなく、小学生のドリルを持って落ち込みながら家に帰ります。
そこには、球場で一部始終を見ていた若い女性がいたのです。
この人は東京の「青道高校」の副部長だと言うのです。
かなりの名門で甲子園にも何度も出場している高校と聞き、祖父が困惑しますが、沢村は全くわかっておらず、興味も無い様子です。
そして、副部長の高島から「先日の試合を見て、ただならぬ可能性を感じた」と伝えられます。
しかし、「なんで野球の為に東京に?堅苦しいところで野球をしたくない」という沢村、そして「こっちの仲間と甲子園を目指したい」と伝えますが、話を完全に無視して、「いつ見学に来ますか?」と話を進められてしまいます。
その後も自分の中学の野球をバカにされていると感じた沢村は全国のレベルを見に行くため、青道高校を訪れます。
着いた瞬間から、グラウンドの広さはもちろん、見たこともないマシーンに目がくらみます。
そんな時、一人のバッターがピッチャーに対して暴言を吐いている声が聞こえます。
それは今年のドラフト候補である東 清国(あずま きよくに)という打者だったのですが、とてつもないホームランを打った東に対して、「あのハラでプロかよ!」とケンカを売ります。
どんなにすごい技術を持っていようが、一緒に練習をしてくれている仲間を罵倒することが何より許せなかったのです。
そして、そのまま東と対決することになります。
そのキャッチャーを自分からしたいと言ってきたのは一年の御幸 一也(みゆき かずや)です。
そしてこの勝負が沢村の野球人生を大きく変えることになるのです。
第2話 相棒
東との対戦をする沢村ですが、一球目を投げたとき、相手の雰囲気で、投げる途中にボールの軌道を無理矢理変化させます。
それに気付いた御幸がマウンドに行き、なぜボールを地面に叩きつけたのか聞くと「あのコースは打たれる気がしたから」と伝えます。
すると、御幸はさっき構えたコースは東の一番の得意コースだったと笑い始めます。
そして、二人で東を退治するように話をし、沢村をリラックスさせますが、球種がストレートしかないことにまた大笑いします。
沢村は、「自分の勝負だから関係ない!」と言いますが、御幸は「一人で野球は出来ない。最高のピッチングは投手と捕手が一体になって作り上げる作品だ。」と伝え、自分のミットに思いっきり投げ込んでこい。と伝えます。
御幸と話をして堅さがとれた沢村は御幸に受けてもらい、いつも以上のミット音で、自信が出てきます。
そして、何球か投げているうちに、御幸は沢村の持ち味のナチュラルなムービングボールに気付きます。
沢村は、思いっきりピッチングが出来ていることにワクワクし始め、最後のど真ん中を投げる時には、あのミットを信じればもっとすごいボールが投げられるのではないかと胸の高まりを感じます。
そして最後には東を三振に打ち取るのです。
地元に帰る新幹線ではいつまでも最後にミットに収まった時のミット音が頭の中で響いているのです。
第3話 旅立ちの日
地元に帰ってからも魂の抜けた顔の沢村ですが、ずっとミット音が離れず、御幸と一緒に野球をしたらどんな風に成長出来るのか・・・と考えていますが、自分が引っ張り込んで野球を一緒にしてくれた仲間を裏切って東京にいくことがどうしても出来ず、どうすればいいのか悩んでいます。
次の日学校に行くと、沢村の祖父が皆に青道からスカウトされたことを話されており、皆から「おめでとう」と祝福され困惑する沢村ですが、幼なじみから「気持ちはすでに東京に行ってるくせに」と言われ、周りの友人からも「すぐに顔に出ちゃうもんね。」とからかわれ、「ずっと応援するから!」と背中を押されます。
しかし、家に帰ってからもまだ悩んでいる沢村に「離ればなれになったぐらいで壊れる友情なのか?」「本当は一人で東京に行くのが怖いんだろう?」と言われます。
「自分の中で答えは出てるのに、自分の気持ちを裏切れば一生後悔するぞ。」という父親からの言葉に覚悟を決め、夜中に友人の家を周り皆に報告しに行くのです。
そして、東京に行く当日、友人が見送りに来てくれるのですが、沢村が乗り込む背中を見た友人が涙を流し、「本当はもっと一緒に野球をしたかった」と伝え、走りながら応援をします。
その言葉を聞き、沢村は電車の中で覚悟を決めるのです。
第4話 いい度胸だな
東京の青道高校に進むことを決意し、寮生活が始まります。
期待に胸を膨らませながら扉を開けると、そこには血塗りの先輩が待ち構えており、ドッキチにかけられますが、名門校ということで少し緊張していた沢村は安心します。
しかし、初日からなんと寝坊してしまい、既に監督が来て新入生の自己紹介が始まってしまっています。
入れず悩んでいた沢村の横に、同じく寝坊した御幸が現れ、バレずに潜り込む方法を伝授されます。
先日の一件もあり、御幸のことを信じた沢村はそれを信じ走り出しますが・・・御幸にはめられてしまいます。
そして御幸にはめられ監督から練習が終わるまで走るように命じられます。
第5話 才能で語れ
朝練が終わり食事をするのですが、全く食事に手がつけられない沢村は、同じように走ったのに悠々と食事をし、午後からの練習をしている先輩を見て、体力の差を痛感します。
そしていよいよ1年生の能力テストが始まりますが、監督から「遅刻をして謝罪も出来ない男は一員として認められない」と言われてしまいますが、「エースになるために来ている」と監督に伝えます。
すると監督は100m以上先のフェンスまで遠投し「言葉ではなく才能で語れ」と言われます。
約90m先のフェンスに届けば練習に参加させるが、届かなければ即刻投手を諦めろ。と言われ、高校生活の第1球を投げるのです。
1巻の見どころ
1巻は沢村が青道に入るまでの物語です。
純粋な野球漫画で、なんと言っても主人公の沢村の野球に対しても仲間に対してもとても真っ直ぐで純粋なところにとても心打たれます。
沢村が東京に行く際の友人の涙、そして「もっと一緒に野球がしたかった。」という台詞に本当に涙が出ます。
ここから沢村がどのように成長していくのか、御幸とはバッテリーを組むことが出来るのか、楽しみが沢山あります。
野球に興味がない方でも十分楽しんでいただける作品だと思います。
2巻あらすじ
【第6話 投手失格】
前回、フェンスまでの遠投を失敗すれば投手を諦めろと言われてしまった沢村ですが・・・
フェンスの前で大きくカーブしてしまい、フェンスには届かず終わってしまい、そのまま走ることを命じられます。
そしてそのことを同室の先輩に笑われますが、あと3年もあるのだから。と言われ、同室の3年の増子(ますこ)は夜遅くまでバットを振っていることを知ります。
そして、前回の試合のたった一度のエラーでレギュラーを外されてしまっていたのです。
それを聞いた沢村は練習が始まるかなり前から一人で黙々とランニングに取りかかっているのです。
それを聞いた監督も、「今は」まだ投手として練習には参加させることが出来ないと告げます。
【第7話 待ってろよ】
ずっと憧れていた野球部のマネージャーになってから1週間ですが、ドジばかりで怒られてばかりの吉川(よしかわ)は授業中も「もう無理かな・・」と落ち込んでいます。
そんな中、授業中に爆睡してしまっている沢村ですが、同級生の野球部から「まだ入部も認められていないから一緒にしないでほしい。」と言われてしまいますが、「いずれエースナンバーを背負うんだ!」と大声で宣言します。
その後グラウンドでは、近く始まる大会を前に一軍が掛け声をかけます。
その掛け声に震え上がっている1年生の横で、悔しそうに見ている沢村がいます。
ほとんどが試合の応援に行く中、残って走り続ける沢村に、吉川が勇気をもらったことを告げ、走るなら・・とタイヤを差し出します。
そして、それを聞きテンションが上がりタイヤを2個に増やして走り始めます
焦らず必ず一軍に登り詰めることを再び決意するのです。
【第8話 同じタイプ?】
一軍は初回から8点も取るほどの圧倒的な試合をしている中で、一人で走り続けている沢村ですが、監督がいない今ならボールを使える事に気付きます。
しかし、相手がおらず一人でキャッチボールしようと、投げては受けて・・・と繰り返していると、同級生の降谷 暁(ふるや さとる)が登場します。
その頃試合中の青道は、エースの丹波(たんば)が前大会から「全然進歩がない!」と監督に交代を告げられます。
球場の記者達が、今年の青道のチームの課題は「絶対的エースの不在」だと話をしています。
その頃、降谷とキャッチボールをしている沢村ですが、沢村の動くボールに「取りにくいから真っ直ぐ投げてくれ」と話をしますが、何を言われているのか理解出来ない沢村に、肩が温まったからと少し強めに投げる降谷のボールに沢村が驚きます。
そして、ずっと自分の全力投球したボールを受け止めてくれる人を探していて、御幸なら受け止めてくれると思い、この高校を選んだことを告げるのです。
これが、この先熾烈なエース争いを繰り広げることになる、降谷との出会いだったのです。
【第9話 気まずい時間】
初めてブルペンに入り、降谷の投球を見て、監督が実践で使える選手がいないか、1年生でチームを作るように指示します。
そんなことがあるとは知らず、タイヤを3個に増やしながらひたすら走り続ける沢村は、食事も以前に比べるとかなり食べれるようになっており、そこに御幸が声をかけます。
そこに降谷も来て、「次の試合で誰も打たれなかったら自分のボールを受けて欲しい」と先輩の前で宣言し、それを聞いている先輩とすごい雰囲気になってしまいます。
その時に初めて1年生だけのチームで試合をすることを知りますが、自分は何も知らされていないことに腹を立てながらお風呂に入ると、なんと監督が入っています。
そして、何故一度も試合を見に来ないのか訪ねてきます。
すると沢村は、「自分以外の人がマウンドに立っている姿を見たくない。」「心の底から応援出来ないなら行かない方がいい。」と伝えます。
その言葉を聞いた監督から「そのバカ正直な答えに免じ、もう一度だけチャンスをやる。」と言われるのです。
【第10話 激突】
とうとう1年生と先輩との試合の日ですが、OBや記者が大勢かけつけており、更には先輩の圧力もすごく、監督が主審に入るということで1年生はかなり緊張してしまっています。
監督から「1年生全員にチャンスを与える」と言われ、沢村はやる気満々です。
試合が始まりますが、エースの丹波の気迫の籠ったピッチング、先輩たちの気迫の籠ったプレーに1年生は圧倒されます。
それを見ていた沢村はわくわくし始めています。
そして、近くで見ていた御幸に「こんなすごい人たちと真剣勝負ができるのが楽しみだ」と告げます。
その頃降谷は・・・ベンチで寝ているのです。
【第11話 三年生の意地】
3年生の圧倒的な攻撃が終わった時にはなんと1回で12点も取られる一方的な試合となっています。
ベンチに戻った1年生は意気消沈してしまっています。
その一方で沢村は「まだ逆転できるチャンスが8回もあるんだぞ!」と励まそうとしますが、みんな諦めてしまっています。
そんな中、沢村に試合に出るチャンスが訪れますが、沢村の思いとは別にライトの守備につきます。
しかし外野を守ったことのない沢村はライトフライをバンザイして逸らしてしまいます。
その後も先輩の攻撃は止まらず、投手に限界がきます。
すると監督から投手交代が告げられ、降谷がマウンドに上がります。
それまでベンチで居眠りをして、投球練習もせず、いきなりマウンドに上がる降谷に、先日のこともあり、先輩も一層にやる気になっています。
しかし、降谷が投げた一球でマスクが飛びます。
【第12話 まだだ!】
降谷の一球で飛んだマスクは、なんと主審をしていた監督のマスクだったのです。
ミットの上をすり抜けるほどのかなり伸びのあるボールを投げ、1年生の捕手では捕ることが出来なかったのです。
それを見た監督はその一球で合格を告げ、そのまま降谷はマウンドを降りますが、その一球が流れを変えたのか、3年生の勢いが止まります。
勝負がほぼついている状況で、監督も終了を告げようとしている中、一人だけバットを振って次の攻撃に備える沢村を見て、もう1イニング様子を見ることにします。
やる気だけは人一倍ですが、沢村のバッティングはフルスイング・・・当たれば飛ぶのですが、あっという間に三振に取られますが、キャッチャーがボールを弾きます。
それを見た1年生ベンチから「走れ」と声がかかり、無意識に走り出した沢村は振り逃げに成功します。
【第13話 代打オレ!】
「走れ!」の声に無意識に反応し、何とか振り逃げに成功した沢村ですが、その後の打者が続かないのです。
そんな中、自分の出番は終わったからと言って自主練に行ってしまいます。
それを見たほかの一年生も諦めており、「こんな試合早く終わりたい」と言っている中、先ほど沢村に声をかけた選手が「代打オレ!」と木製バットを持って打席に向かいます。
そして、バッターボックスから「オレが絶対ホームまで返すから」と宣言し赤面します。
見事に一球目を打ち返します。
打つ前からスタートを切っていた沢村はなんとホームに向かうのです。
2巻の見どころ
青道高校の野球部に入部した沢村ですが、いきなり監督から投手失格と言われてしまい、ずっとランニングをしている沢村ですが、決して諦めず、いつかエースになる!と黙々と走り続けています。
そんな姿を同級生にも認めてもらえないのですが、それでも黙々と走り続ける沢村に心打たれます。
そして、2巻はなんといっても先輩との試合が見どころです。
どんなに打たれて圧倒的な試合になっていても、前向きで諦めない沢村の姿が印象的です。
そして、この後逆転は無理でも、1点返せるのか、沢村はマウンドに立つことが出来るのか・・続きが気になります。