チェーンソーマンの予告編動画
世の中、別格の才能を持った人間だらけと思う時がある。
10年に1人の逸材だとか、史上初の快挙をいとも簡単に達成するだとか。
そんな中にあって尚一層輝きを放つ藤本タツキという人物がいる。
安易な言葉では表現しきれないそのセンスは、彼の作品に触れた事があるモノならば好き嫌いとは別に否が応でも感じ取ってしまう。
私が今一番脳みそを覗いてみたい人物だ。
そんな彼が週刊少年ジャンプにてチェンソーマンという連載を開始すると聞いたときは心底驚いた。
漫画アプリであるジャンプ+で連載していたファイアパンチを読めば分かるが、アプリだから許される表現でもジャンプ本誌ではそれが出来ずにライトな表現に置き換えられてしまうのではと心配した読者も多いのではないか。
しかし、蓋を開けてみれば藤本タツキらしい暴力的且つ繊細な表現は健在。気が付けば毎週チェンソーマンの為にジャンプを読む様になっていた。
かつて、昭和にデビルマンがあった。
続き、平成に寄生獣が生まれた。
そして現在、チェンソーマンという漫画の本流を変えかねない悪魔が現れた。
制作会社であるMAPPAがこの悪魔にどの様な命を吹き込むのか、生姜焼きを仕込みながら見届けたいと思う。
スタッフ/キャスト
スタッフ
原作:藤本タツキ(集英社「少年ジャンプ+」連載)
監督:中山竜
脚本:瀬古浩司
キャラクターデザイン:杉山和隆
アクションディレクター:吉原達矢
チーフ演出:中園真登
悪魔デザイン:押山清高
美術監督:竹田悠介
色彩設計:中野尚美
撮影監修:宮原洋平
音楽:牛尾憲輔
監督が中山氏、脚本は瀬古氏という旧ガイナックスコンビが今作の心臓部分を担う。
繋がりという意味ではアクションディレクターである吉原氏と中山氏は相当なモノで、共に担った作品は数多い。
アクションが目玉の一つに挙げられる作品なだけに、監督とアクション担当が旧知の仲なのは心強い所である。
個人的にはDEVILMAN crybabyにて悪魔デザインを務め、フリップフラッパーズでは監督を務めた押山氏の存在が作品にどの様な変化を齎すのか注目している。
スタッフィング全体としてハイカロリーな作品を担ってきた人物で構成されており、本作への力の入れ具合が見て取れる。
キャラ:キャスト
デンジ:戸谷菊之介
ポチタ:井澤詩織
マキマ:楠木ともり
早川アキ:坂田将吾
パワー:ファイルーズあい
姫野:伊瀬茉莉也
コベニ:高橋花林
荒井ヒロカズ:八代拓
岸辺:津田健次郎
天使の悪魔:内田真礼
サメの魔人:花江夏樹
暴力の魔人:内田夕夜
蜘蛛の悪魔:後藤沙緒里
沢渡アカネ:大地葉
サムライソード:濱野大輝
キャスト陣に関してだが、必然的に目を引くのは主要4キャラ(デンジ、マキマ、アキ、パワー)へのキャスティングである。正直かなり驚いた。
第一報を聞いた時は「若っ!」と思わず叫んでしまった。
パワー役のファイルーズ氏やマキマ役の楠木氏はここ数年でかなりの作品数に出演しているが、デンジ役の戸谷氏、アキ役の坂田氏に至っては新人と言って過言ではない。
次代を担う声優としてこの作品をキッカケに大いに売れて欲しい所だ。
余談、というか私事だが坂田氏が過去に主役を務めたFairy蘭丸は本作に負けず劣らずヤバイ作品なので非常にオススメである。
チェーンソーマンの主題歌
OP:米津玄師「KICK BACK」
ED: Vaundy「CHAINSAW BLOOD」※EDは週替わりとなる。
OPは稀代のクリエイター米津氏とKing Gnu常田大希氏の合作となる。
今年は既にシン・ウルトラマンで多くのファンの心情を(良い意味で)メチャクチャにした米津氏だが、本作でもそれは変わらず、今作においても聴くだけで心情がスゴイ事になってしまう。
また、作中の時代背景が1997年と推察されている点や原作コミック85話のタイトルとの関係性からかモーニング娘。の”そうだ!We’re ALIVEの歌詞の一節が使用されている。
EDは何と22歳の現役大学生ながらYouTubeを中心に活動するVaundy氏が務める。
本作の大ファンという事もあり、曲調や歌詞は作中の雰囲気を的確に捉えており、OPの高い完成度に引けを取らない重厚感のある仕上がりになっている。
2番以降の歌詞が非常に面白い内容となっているので、是非ともフルで聴いて頂きたい所だ。
第1話のあらすじ・ストーリー
超常の存在、悪魔が日常を跋扈する世界。
人々は常日頃から死と隣り合わせの日々を送っていた。
「チェンソーの悪魔」ポチタと共にデビルハンターとして生活を営む少年デンジ。
父親が遺した借金を返済させる為、ヤクザに酷使され、臓器を売りながら貧しい生活を続けていたが、ある日、雇い主であるヤクザに裏切られその命を落としてしまう。
当たり前の日常、慎ましい幸福、そのいずれも手に入れる事無く死を迎えたデンジだったが、その時、相棒であるポチタの身に変化が起きる…。
キャラ・登場人物の紹介
デンジ
「チェンソーの悪魔」ポチタと契約しデビルハンターとして暮らす少年。
親がヤクザに多額の借金を遺して死亡した為、それを肩代わりして返済に追われる貧しい生活を送っている。
本作開始時点で右目、腎臓、睾丸の片方を売り払っているが、それでも借金の残額は3800万円を超えている。
1話冒頭にて「トマトの悪魔」を仕留めるが、報酬として得られる金額の殆どは借金の返済に消えてしまい、食パンを1日1枚食べられるかどうかの生活を送っている。
ポチタとの出会いだが、父親がデンジを遺して世を去った後、ヤクザから明日まで70万円を用意出来なければ身体をバラして売り払うと告げられ、途方に暮れていた時に重傷を負った状態のポチタと出会った。
自身の血を与えて傷を癒す代わりに契約を交わし、ポチタという相棒を得てデビルハンターとなったデンジはその身をヤクザに売り込み一命を取り留め、今日を迎えた。
だが、上記の通り臓器が欠落した状態で満足に栄養を取る事も出来ない生活が続いた為、その身体は突然吐血する程に弱り切っている。
そんな中で望むのは慎ましやかな生活と人並みの幸福であった。
ある日、ヤクザから悪魔退治の仕事があると呼び出されたデンジは人気のない廃倉庫へと向かうが、そこで裏切りに合い、深手を負ってしまう。
雇い主のヤクザが「ゾンビの悪魔」と契約し、身体をゾンビに変えられ使役されている事実を直後に知るが、歩く事も困難な状況となり追手から逃げきれずに刺殺された後、死体をバラバラにされゴミ箱へ遺棄された。
僅かばかりの幸せすら掴めずに命を落としたデンジだったが、死体から流れ出た血がポチタの口へ入った事をキッカケにポチタが意識を取り戻し、再度契約を結び、チェンソーの悪魔をその身に宿した魔人「チェンソーマン」となった。
チェンソーマンとして復活したデンジはその圧倒的な力でゾンビの悪魔を蹂躙。
また、ゾンビ化したヤクザ一同を皆殺しにした為、借金も全て無に帰した。
夜が明け、死骸の山となった倉庫にてマキマと接触。彼女の犬として公安のデビルハンターとなった。
借金が無くなり、キレイな女性が上司の職場に就職、オマケに食事の心配もない…。
最高じゃあないっすか。
ポチタ
チェンソーの悪魔。
理由は不明だが、瀕死の重傷を負った状態で幼少期のデンジと遭遇。
デンジの血を飲み、傷を癒すと共に契約を交わし、以後はデンジを支える頼もしい相棒となった。
デンジと日々を過ごす中、もし自分が死んだなら身体を譲り渡すとデンジから告げられており、その際は普通に生きて普通に死ぬという自分の夢を叶えて欲しいと願いを託された。
ゾンビの悪魔の襲撃を受けデンジが命を落とした際は共にゴミ箱へ遺棄されたが、デンジの死体がバラバラにされた事で流れ出た血が口に入った事で意識を取り戻す。
そのままデンジの身体を奪う事も出来たが、逆に自身の心臓をデンジに明け渡し、デンジと一つになる道を選択する。
束の間ではあるが、デンジの意識と同調した際、契約として心臓を渡す代わりにデンジの夢を見せて欲しいと告げた。
マキマ
公安のデビルハンター。
ゾンビの悪魔に対応する為に出向いた現場にてデンジと出会う。
ただならぬ雰囲気をその身に纏い、デンジを自身の犬及び公安のデビルハンターとして迎え入れた。
余談だが、マキマが出向いたという事はゾンビの悪魔は相当なレベルの悪魔だったりするのだろうか。
ゾンビの悪魔
デンジの雇い主であるヤクザが契約を交わした悪魔。
契約者はゾンビとなって使役させられてしまうが、そんな事とは知らずに力を求めて契約したヤクザたちは全員ゾンビとなってしまった。
ゾンビとなった者に噛まれるとゾンビになるという性質上、厄介な存在であるが、チェンソーマンとなったデンジによって成す術無く蹂躙された後、真っ二つにされた。
第1話の感想
ジャンプ本誌にて1話を読んだ際にトンデモない作品が始まったと感じたのが約4年前、そこから第一部の最終回、タツキ先生の各種読み切りを読んでいる内に第二部が始まったかと思えば、ウルトラハイクオリティなアニメ版がスタート…すげぇなチェンソーマン、というかタツキ先生。
呪術廻戦にて世間一般にも広く名の知れる会社となったMAPPAが手掛けるという事もあって期待値は既に限界突破の状態でしたが、それに対して見事に応えてみせた第一話だったのではないでしょうか。
特に目を見張るのは光の演出。窓から差す光の中に漂う埃や曇り空から僅かに差す陽光など、微細な変化を巧みに利用した演出は、思わず時を忘れてしまいそうになりました。
OP映像も1話から挟まれ、洋画・邦画のパロディが随所に仕込まれた映像は何度も何度も見返してしまいます。
全体的に隙がない程にハイクオリティな1話、既に料理をフルコースで振舞われたかの様な感覚がありますが、まだ1話という衝撃。
ただ、気になる点が無いわけではありません。
デンジが初めてチェンソーマンに変身する際に発するセリフが一部変更されており、後半のある人物が発するセリフにもかかってくる為、ネット上では物議を醸しています。
敢えて省いたのか、何となく省いてしまったのか…それを確かめる為にも最後までしっかりと追い続けたい所ですね。
第1話のまとめ
- チェンソーの悪魔ポチタと契約し、デビルハンターとして日々を営む少年デンジ。
- 父親が遺した借金を返す為、雇い主であるヤクザに良い様に酷使され、臓器を売ってまで金を稼ぐが、借金は完済の目途が立たない。
- トマトの悪魔を討伐し、ヤクザより報酬を得るが、その殆どが借金の返済に消えていく始末。
- 家に帰宅したデンジは、ふとポチタと出会った日を思い返す。
- 父親が遺した借金のアテとしてヤクザより命を狙われる中、重傷を負ったポチタと出会う。血を与えて傷を癒す代わりに自身を助けるという内容の契約を交わしたデンジはデビルハンターとして自身をヤクザに売り込み、命を繋ぎ留めた。
- だが、ロクな食事も取れない中で日々を過ごす内にその身体は徐々に弱っていく。
- 人並みの生活と幸福を求めるデンジ。ある日の夜、ヤクザから悪魔退治の仕事があると人気のない廃倉庫に呼び出されるが、そこで裏切りに合い、命を落とす。
- ゾンビの悪魔と契約し、ゾンビとなったヤクザたちはデンジの死体をバラバラにしてポチタと共にゴミ箱に遺棄するが、デンジの血がポチタの口に入った事でポチタは意識を取り戻す。
- 以前より自分が死んだ際は身体を奪い、普通に生きて普通に死ぬという夢を代わりに果たして欲しいとデンジより告げられていたポチタだったが、逆に己の心臓をデンジに明け渡す。
- デンジとポチタは再度契約を交わし、ポチタはデンジの夢を自分に見せて欲しいと告げ、デンジの意識の中に消えていく。
- デンジはチェンソーの悪魔、ポチタをその身に宿した魔人チェンソーマンとして復活。
- 圧倒的な戦闘力を発揮し、ゾンビの悪魔を殲滅。続けてゾンビ化したヤクザ一行を皆殺しにした為、その借金は全て無に帰した。
- 夜が明け、ゾンビの悪魔を始末せんと公安のデビルハンター、マキマが倉庫に現着するが、そこでデンジと接触。
- マキマはデンジに対し、悪魔として死ぬか、デビルハンターとして自分の犬になるかを選ばせ、デンジは後者を選択。
- そして、チェンソーの音が世界へと響き始める。
コメント